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newsletter vol.7 カリグラファー  三瓶 望美さん

 
特別インタビュー

三瓶望美(みかめ のぞみ) さん
カリグラファー(西洋書道家)
カリグラフィー教室主催

※「英字サイン講座が人気」 2014.5.20 読売新聞掲載
  サインデザイナー三瓶望美さんの記事は本ページ文末にございます。


 語源に<美しい書き物>という意味をもつカリグラフィー=西洋書道は、アルファベットを手書きで美しく見せるヨーロッパの伝統技術です。2000年という長い歴史に培われ、今に伝えられてきました。ワ・ミューズでその手法を教え、「日常の世界を広げるきっかけにもなる」と語る三瓶望美さんにカリグラフィーを学ぶ魅力についてお伺いしました



■古典から創作まで。カリグラフィー果てしない可能性
  

 取材の日、バレンタインデーを間近に控えた教室では生徒さんたちが、St.Valentine’s Dayのスペリングを各々が勉強中の書体で練習する姿がありました。書くというよりは描かれるかのように、ペン先から白い紙の上に現れてくる文字。慎重に、時にはためらいながら書いていく生徒さんたちに、三瓶さんは文字の角度や線の調子、筆勢などを細やかにアドバイスしていきます。
「同じ書体を勉強しても、出来上がりの雰囲気や進み具合は違うので、自然と生徒さん一人一人合わせた教え方になりますね」と三瓶さん。初心者は、特殊な先の平たいペン先を使うので、インクの差し方や、ペンをどう動かしたらどういう線が出るのかということを最初に勉強し、書体は「形をどう揃えるかということが、目が慣れていない人でも分りやすく、自分の欠点が見えやすい」イタリック体から始めめるそうです。



 カリグラフィーの書体は、よく知られているゴシック体、イタリック体などを始め、長い歴史の中で考案されてきた書体がさまざまあり、三瓶さんのホームページでも12種類の書体が掲載されていますが、
「文字というのは、すべて手書きに置き換えられるので、際限なくいろいろな書体を学ぶことになります。馴れてくると、自分で文字をデザインする作業があるので、学ぶということには限りがないんですね」。最終目標は、その人なりの書体を身に着けていくことと言う三瓶さんは、
「生徒さんの将来の理想としては、たとえばパソコンに入っているフォントの書体でもいいのですが、それを手書きにしたらどうなるのか自分でテキストを作れるくらいになるといいですね」。その書体を作るには、書くときのペン先の角度や文字の高さの解析が必要だとお聞きして、難度がかなり高そうに思われましたが、
「規則はあって、日々増えていくフォントも古い書体を参考にしているんですね。カリグラフィーでいろいろな書体を勉強すると、そのフォントの元が何の書体が見えてくるんです。それをもとにフォントを解析すればまとまると思います」。カリグラフィー=古典文字とイメージが払拭された瞬間でした。


■日常世界を広げるきっかけになるのが大きな魅力
  

 カリグラフィーは、誕生日やクリスマス、ありがとうの思いを託すグリーティングカード、好きな文字や詩、聖書を写して額装にしたり、署名のデザインなど、身近に活用できるのも魅力です。自分で経営する会社のロゴや、商品のタグをデザインした生徒さんもいるそう。
「パソコンやデジカメ、スキャナーとかプリンターなど、最近の機材を組み合わせれば、手書きのカードをシールにしたり、封筒や名刺など自分でいろいろなものが作れます。仕上げ方も、さまざまな好みの人がその立場で楽しむことができるので、日常の世界が広がるきっかけになりやすいことが大きな魅力だと思います」。さらに三瓶さんは、好奇心旺盛な人に向いているとも言います。
「西洋の歴史にもかかわってきますし、カリグラフィーが発達した大きな要因はいかに聖書をきれいに書くかということが大もとになっていて、中世にいちばん盛んになったのですが、カリグラフィを習っていてラテン語を勉強し始めた人もいたりして、面白いですね(笑)」。語学や歴史を学ぶことへの興味を誘い出す――長い歴史の中で変遷し培われ、その発生段階にもたどれるカリグラフィを学ぶことのもう一つの魅力とも言えるかもしれません。


■個性を発揮する生徒さんとの作品展が大きな楽しみ
  

「私のような個人の教室の場合は、準備が大変なので作品展をする方が物凄く少ないのですが、大変なだけやりがいがあるので2、3年に一度はできる体制を整えていきたいですね」。大きな作品展としては3回目となった昨年11月に開催した原宿での展覧会は、アルファベットの中から好きな文字を選んで制作した作品が多くの人から好評を得ました。
「最初は、個性を出すなんて思いもしなくて、ただ字を書くのが好きで始めた方が多いのですが、展覧会のときには思い切って作ってくださる生徒さんが多いので、面白いくらい個性が出るんです」と嬉しそうに語ります。作品展の制作では、練習の段階で細かく指導することもありますが、仕上げに入ると生徒さんにお任せするという三瓶さん。それは「その人の勢いが出るように、のびのび仕上げてほしい」から。そして教えることが「とても楽しい」と思うのは、生徒さんの成長過程が見えるとともに、教わることも多いからだとも言います。
「家でこんな作品を作ってきましたと見せてくれることも多いのですが、自分では思いつかない配色であったり、私のデザイン・サンプルを元にしていても、それを大きく飛び越えた作風にしてくれたり。ものすごく楽しいです」。
 教室を開いて11年になり、作品展の運営を生徒さんたちに任せられるようになってとても助かっていると言葉がはずみます。三瓶さん特有のふんわりした優しい口調がそうさせたのか、
「私が頼りないので皆さんがしっかりしなくちゃって、指導者は頼りないほうがいいのかもしれませんね」と、笑いを誘いました。



 
■伝統技術の枠にとらわれない自由な発想
  

 カリグラファーとしての三瓶さん自身の仕事は、パスポートや外資系の会社で多くなってきた書類などに使われる署名(サイン)デザインを中心として、結婚式のウエルカムボードや座席札、ロゴデザイン、絵を勉強した経験から看板も手掛けるなど多岐にわたります。さらに今、絵を描くのも好きな三瓶さんが力を入れているのが英文の創作絵本です。
「著作権を気にせずに文章にできるのは、聖書とか著作権のきれた詩人の詩とか限られてしまう。そういうことをいつも気にして限られた世界で作品にするのに飽きてしまったんです」と言う三瓶さん。内容は、架空の世界での架空の動物たちの冒険譚。英文はネイティブの知り合いに直してもらい、指導者やそのレベルに達した人たちが所属するカリグラフィー・ギルドという団体の作品展に出品されているそうです。
絵本制作には、カリグラフィーに興味をもったきっかけになった絵とゴシック体の文字が組み合わさった聖書の写本や、20世紀前後にアフリカやアジアの探検記や報告書の筆記体とイラストや写真が載った図鑑などが背景にあり、
「すごくきれいだなって思っていて、そういうのを全部、自分でやっちゃいたいというのがあったんです」と、お茶目に笑います。カリグラフィーで何ができるかを自由に考える三瓶さんの姿勢は、生徒さんたちの制作にも及んでいます。
「発表の場には必ず規定を設けますが、昨年の作品展では手書きの文字をどこかで利用していれば良かったので、パソコンでデジタル処理をしたり、刺繍(カリグラフィーの書体を刺繍する)の作品もありました」と言う三瓶さん。
「私の仕事は、こうでなくてはいけないというこだわりを、なるべく捨ててもらうことかもしれませんね」とも。制作にどのように活用するかの発想、また興味の持ち方によって、限りなく広がっていくカリグラフィーの世界を垣間見たように思えました。


■プロフィール

 

  

西洋書道家。姫路生まれ。ヨーロッパ中世の聖書の写本などに興味をもち、1992年よりカリグラフィーをカルチャースクールで習いはじめる。1998年より、ウエルカム・ボード制作、署名(サイン)のオリジナルデザインなど、カリグラファーとして活動を開始。ワ・ミューズのほか、目黒、自由ヶ丘にカリグラフィー教室をもつ。ノゾミスタジオ主宰。著書に『美しい英文が書ける書き込み式筆記体レッスンブック』日本文芸社がある。
HP
ノゾミスタジオNozomi Studio http://www.nozomistudio.com/
カリグラフィー・パラダイス http://www.nozomistudio.com/callipara/



※「英字サイン講座が人気」 2014.5.20 読売新聞掲載
  サインデザイナー三瓶望美さんの記事








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newsletter vol.6 背骨コンディショニング・マスター  藤井 聖司さん

 
特別インタビュー

藤井聖司(ふじい さとし)さん 
一般社団法人 背骨コンディショニング協会
背骨コンディショニング・マスター




 背骨コンディショニングは、肩こりや腰痛、関節痛などのさまざまな体の不調の原因を背骨の歪みからくるものと考え、体操や背骨の矯正によって症状の改善・緩和を目指すプログラムです。「辛い人ほどぜひ一度、試してほしい」と語る藤井聖司さん。ワ・ミューズで公開しているクラスでお話しを聞きながら、背骨コンディショニングのプログラムについてレポートします。


■最初は半信半疑、そして確信へ
  



 腰痛や肩こりをはじめ、筋肉のハリ、関節の痛み、各所のむくみ、頭痛など、日常生活の悩みともなるさまざまな体の不調。その多くの原因は背骨の歪みにあり、その部分の関節が固って神経が引っ張られことによって、痛みやしびれなどの症状が起こる、というのが背骨コンディショニングの考え方です。
 この理論は、大手スポーツクラブでプログラム開発をしていた日野秀彦氏、独自に研究を重ねて編み出しました。プログラムは、体の歪みを効率よく改善するために ◎症状と関連のある固まった関節をゆるめる体操(関節の可動域を広げる=ROM体操)をする ◎関節がゆるまったところで背骨を矯正する ◎骨を支える筋力を鍛える、という3つの要素から構成されています。
 藤井さんが背骨コンディショニングに出会ったのは、東京のスポーツクラブでインストラクターをしていた時期に、日野氏が主催する背骨コンディショニングの研修に参加した時でした。
「それまで自分で勉強していた方法とは全く違うアプローチだったんです」と、語る藤井さん。「症状の原因と、その対処法はこうだというのがはっきりしている。こんなに分りやすくて、効果の出そうなプログラムはないなと、実は、最初は半信半疑(笑)。ところが教え始めたら、体操をするだけでも良くなったというお客さんの反応がものすごくあったんですね」。経験を重ねるごとに効果を確信するようになった藤井さんは研修を積み、ベーシックな体操を教えるインストラクターから骨を矯正できるまでの何段階もあるライセンスを経て、全身の骨を矯正するスペシャリストの資格を取得しました。
「この症状だったらこの体操、この歪みにはこの体操ということをはっきりと確立して公開しているのは、背骨コンディショニング以外にはないと思います。体験していただくと、既存のプログラムと異なることが分っていただけると思います」。



■たとえば腰痛は、仙腸関節の歪みを調整する

 背骨コンディショニングには、個別の背骨矯正とグループレッスンなどの体操のみのクラスがあります。背骨の矯正の場合は、「最初はカウンセリングをして、症状に対する僕の意見はこうで、こういうアプローチをして改善していきますという説明をします」と言うように、個々の症状に合わせたプログラムを組むのが特徴です。
 たとえば、国民病とまでいわれている「腰痛の85%は原因不明だと言われていますが、僕たちから見ると仙腸関節がずれているんです」と、調子が悪いときにも駆け込みで来ることもあるというMさんに取材の協力をいただいて説明してくれる藤井さん。仙腸関節とは、背骨の一番下にある平たい部分=仙骨の両脇にあって、骨盤とのつなぎ目になっている関節です。
 「ここは、第一頸椎。土台がずれると上までずれることが多いですね」。仙骨がずれると骨盤全体が傾いたり、ねじれることがあり、体の土台となる仙骨の要である「仙腸関節の調整をしない限り、不調の根本的な解決にはならないと思う」と、藤井さんは語ります。仙腸関節は、現代医学では不動関節とも呼ばれ、動かないとされているそうですが、実践データからは「確かに動いたり、歪んだりするんです」。このような背骨コンディショニングの理論に対する評価は、プログラムを実際に体験した鍼灸師や理学療法士、開業医などの専門分野の人たちが、インストラクター・ライセンスを取得する研修に参加しているということからも伺えます。



■ゆるめる・筋力アップのシンプルな体操で、体の変化を実感

 取材中、初めて藤井さんのもとを訪れたK子さんは、股関節の痛みと太ももの筋肉のハリがありました。カウンセリング後、仙骨が固くなって骨盤が左に傾いていると指摘されました。さらに、背中が丸くなって固くなり始めていると言われたのは想定外でしたが、友人から時々背中が疲れているように見えるなどと言われ、気づかないうちに姿勢が悪くなっていることも気にはなっていたと言います。



 レッスン後、「骨盤が水平になりましたね。これでしばらくは大丈夫でしょう」と言われ、立ち上がってみると、背筋がピンとまっすぐに立ってとても気持ちがいいと感じたそうです。不調の原因や対処法の藤井さんの分りやすく丁寧な説明にも納得し、教わった腰の関節と背中の固さをゆるめる体操をして1週間後。驚くほどに肩が開いて良い姿勢が自然にできるようになり、股関節の痛みは忘れていられるほどになったと言うK子さん。簡単な体操で体の変化を実際に感じられるのが嬉しいと感想を聞かせてくれました。
「骨がずれていて、筋力がなかったら良い姿勢は無理なんです。肩が前に巻き込むのは、肩甲骨と背骨をつなぐ筋肉が足りない人に多い。だらしないんじゃないんですよ(笑)」。
また、仙骨から太ももの外側までついてる大臀筋(だいでんきん)という筋肉が弱ってくると股関節の不調が出てくるそうですが、
「大臀筋が大切なのは、仙骨を支えてずれないようにするのもこの筋肉なんです」と言って骨を正しい位置で支える筋トレの大切さも強調する藤井さんに、大臀筋を鍛えるバックキックを実演していただきました。ゴムバンドを使って脚に負荷をかけながら、その脚を後ろに蹴りあげる体操(写真参照)ですが、見れば運動自体ははとても単純で、自宅や職場でも気軽にできるように見えます。
「そうなんです。ゆるめる体操も、筋力アップの体操も毎日のように続けていくことが大切なので、だらだらできるように(笑)、つくっているんです」。



■日常のセルフケアにも役立つ体操



 グループレッスンなどの体操だけのクラスは、◎関節をゆるめる体操 ◎矯正の体操 ◎筋トレで構成され、効率よく改善するのは背骨の矯正クラスですが、グループレッスンだけでもかなり効果があると言います。
「症状に合わせて、どんな体操をするといいのかを分って適切にやっていれば、自分でできるようになるはずなんです。不調の半分以上は、体操をするだけで良くなると思ってます」とキッパリ。足首を伸ばせない人が改善をみたり、体操で効果をあげている多くの人たちを見てきたからこその言葉なのでしょう。
「一回体験してほしいですね。調子が悪い人ほど、変化を感じると思います。まずはやってみてから、ほかの手立てを考えても遅くはないのではないでしょうか」。
背骨コンディショニングの理論に基づいたこの体操は、歪まないからだを作るので、日々のセルフケアが身につくとも藤井さんは語ります。協会を立ち上げてから4年あまりのうちに、開講されるクラスは東京、関東、関西、九州と全国的な広がりを見せ、カルチャースクールやスポーツクラブからのプログラムの要請も増えました。
「もっと普及させることが僕たちの使命ですね。喜んでくださる方がたくさんいると思うんです。目標は、ラジオ体操以上に広めること」とさらり言ったのは本気。その真剣さが明るい笑顔のなかに見えました。2013年11月、背骨コンディショニング協会は一般社団法人となり、さらなる展開が期待されています。



■プロフィール

 

 北海道生まれ。大学卒業後、東京のスポーツクラブでインストラクターをしていた時期に背骨コンディショニングの理論に出会い、背骨コンディショニング・スペシャリストの資格を取得。主に東京都内で背骨矯正・グループレッスンなどの体操クラスを公開している。一般社団法人背骨コンディショニング協会理事。ほか、健康運動指導士、JCCA認定アドバンス・トレーナの資格も持つ。

☆背骨コンディショニングの理論や体操を網羅した
ベーシックBOOK』(著:財団法人背骨コンディショニング協会)
12月上旬に刊行されました。



お問合わせ・予約:070-6600-0139


HP:http://www.sebone221.com/

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newsletter vol.5 チョークアート作家  柏木 亜希さん

 
特別インタビュー

柏木亜希(かしわぎ あき)さん 
チョークアート吉祥寺教室
チョークアート工房アジアンオーク主宰


チョークアートは、黒板に色鮮やかなイラストや文字を描いたオーストラリアで生まれた
看板アート。まだ日本では広く知られていませんが、柏木さんは2011年からワ・ミューズ
で開催しているチョークアート教室でその技法を伝えています。癒しの効果もある不思議
なアートとも言うチョークアートの魅力について、お話を伺いました。








■塗り絵感覚で楽しく始められるチョークアート

 チョークアートは、発祥地のオーストラリアをはじめカナダ、アメリカなど欧米で発達してきたカフェやレストランなどの看板に用いられる商用アート。特殊な塗料を塗った黒板にオイルパステル(クレヨンより軟質なスティック状の画材)で描く立体的なイラストや、インパクトのある鮮やかな色彩が特徴です。チョークアーティストの柏木さんが、チョークアートの魅力を楽しく伝えようと開いたのが、ワ・ミューズのチョークアート教室吉祥寺校です。教室には、初級・中級・上級の3コースがありますが、絵なんて描けないという人でも構えずに始められますと柏木さん。
「初級では、絵の輪郭ができていて、そこに色を塗っていけばいい。つまり塗り絵から始めるんですね」。まずは、色をおきたい位置におけること、色を混ぜること、輪郭に沿ってオイルパステルで入れた白のラインを残すことができれば初級は卒業。なかなか上手くいかなくてもケシゴムで消したり、後から色を足すこともできて「全部修正可能です(笑)。指先で色を混ぜる感触がとても楽しいので、始めると夢中になれますよ」。
 色を混ぜるというのは、チョークアートを制作するうえでの大きな特徴のひとつで、オイルパステルで色を入れた後に、指で色と色の境界を混ぜ合わせてグラデーションをつくり出していくことです。グラデーションが絵に立体感や奥行きを出すと同時に、自分の指で混ぜて色彩をつくり出すことによって、その人らしさが表れる作品になると柏木さんは言います。カラフルな発色の良さ、指で混ぜる感覚など、チョークアートがもつ楽しさを味わって、「自分が気持ちの良いように描いてほしいですね」。


■気持ちを元気にしてくれる不思議なアート




 柏木さんがチョークアートに出会ったのは5年前。体調を崩して天職と思っていた日本語を外国人に教える教師を辞め、普通の会社員として就職した時に、日本語教師になる夢のほかに、高校生時代に美術クラブに所属して「美大に行って絵を描きたいという希望もあったんだ」というもう一つの夢を思い出したのがきっかけでした。趣味で絵を学ぼうと、絵画教室やカルチャーセンター、美大の通信講座などの資料を収集している時に、鮮やかに目に飛び込んできたのがチョークアート講座でした。
「幸運にも」と言う柏木さんは、日本チョークアートの第一人者ともいわれる栗田貴子さんのもとで学び始め、1年後には日本チョークアート協会の講師に認定されます。
「チョークアートは仕事にするつもりはなかった」のに、またたく間にチョークアートの楽しさに魅了され、「初級から始めて、上級を終えたときにもっと学びたい気持ちがあって、続けていくにはビジネスコースを選択するしかなかったんです」(笑)と、いつの間にかプロの道を歩いていました。
 チョークアートは不思議なアートとも言う柏木さん。「チョークアートやっていると、気持ちが元気になるんですね」。
 制作過程の中で、体験的に絵や色の癒しの効果に気づいた柏木さんは、アートセラピーを専門校で学び始めたという“思ったらすぐ行動”派。翌年にはアートセラピストの認定を受けました。アートセラピストとしての活動は、2011年の東日本大震災後、福島市内のカフェで始めたチョークアートを通じた被災者支援に結びつき、今も続いているそうです。教室でも「自分の呼吸でできた」という生徒さんがいるように、自分らしさを取り戻したり、元気になったり、夢中になれたり、心の内面にも作用するチョークアート。その魅力を伝えていきたいと思うと同時に、チョークアートを介した自分なりのアートセラピーの手法をどのように展開していくかが、柏木さんの今後の課題であるとも語ります。




■心模様を映し出すような作品をつくりたい





 チョークアート教室では、初級・中級・上級コースの生徒さんが一緒に学びますが、教え方はまるでマンツーマン。生徒さん一人ひとりに接して、色の選択から構図の取りかた、図柄のデザインなど、いま悩んでいること、迷いなど引き出し適切にアドバイスしていきます。その姿に、10年間日本語を教えることを通じて、教えることがどういうことかを学んだという柏木さんの教師としてのキャリアを感じさせます。
「日本語を教えたことが今、とても役に立っています。教えるのはスキルではないんですね。相手と私がお互いに通じ合えることが大切で、伝わった瞬間がとても嬉しいんです」。プロの作家として看板制作の依頼も受けますが、「教える方がもっと好き」とも言う柏木さん。そして思うのは、チョークアート=看板アートでなくてもいいということ。
「沖縄を旅行した時に、ふと耳にした三線奏者の、嬉しい時も哀しい時も、自分のなぐさみのために 弾くという言葉が心に響いてきて、あっ、チョークアートが自分のために描くアートであってもいいん だと思えたんです」。
 そう語る柏木さん自身が、これから描きたいのは、チョークアートの手法を使いつつ、いわゆるチョークアート的でない「自分の心模様を映し出すような作品」。そして、それを表現しようとすると抽象的なものになると言います。チョークアートは食べ物であったり、花であったり、具象的なものを対象にして描くのが一般的な中で、抽象表現は柏木さんの新たなる挑戦とも言えるかもしれません。
「私、朝起きたときに爆発したくなることがあるんです」(笑)と、一瞬、周りをビックリさせましたが、それだけエネルギーがあるということなのだそう。穏やかな外見からは分らない、ふつふつと燃えるものを内に秘めているのでしょう。富士山麓の町で生まれ育って間近に見てきた「休火山だけど、内部ではマグマが燃えている」富士山のように。その柏木さんのエネルギーが、「自分を表現する存在であってほしい」と言うチョークアートの新しい作品世界を開いていくに違いありません。



■プロフィール
 2007年までの約10年間、成年外国人を対象に日本語教師を務める。2008年チョークアート第一人 者栗田貴子氏に師事。翌年、日本チョークアート協会のチョークアート講師に認定。2010年オーロ ラアートセラピストに認定。2009年チョークアート・アジアンオーク設立。2011年、8月より福島市内 にてチョークアートを通じた被災者支援を始める。11月ワ・ミューズにてチョークアート教室を開く。
 2013年11月14日~17日、吉祥寺のギャラリー永谷にて、チョークアート教室の参加者による作品展示会開催。

☆第一回チョークアート吉祥寺教室二周年記念作品展
 「a gift ~心、満たすもの~」
2013年11月14日(木)13時~20時 15日(金)16日(土)11時~20時 
17日(日)11時~16時 ギャラリー永谷
展覧会・教室のお問い合わせ 下記のホームページ から

HP   :http://asianoak.jp/

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newsletter vol.4 女流棋士 高橋 和さん

 
特別インタビュー

高橋 和(たかはし やまと)さん 
女流棋士三段
将棋教室 Shogimadame主宰


昨年、女性が将棋を気楽に楽しめる2つの教室をスタートさせた高橋さん。
ワ・ミューズではShogimadame(将棋マダム)を開いています。
将棋というと難しい、敷居が高いという印象がありますが、
何も知らなくても始められますという言う高橋さんのレッスンや、
将棋を学ぶ面白さについてお伺いしました。



■初めてでも大丈夫。ゼロを1にすることから始める


高橋さんが昨年開いた女性を対象にした2つの将棋教室Shogiotome(将棋オトメ)とShogimadame(将棋マダム)。平日の夜でOLの方が中心なShogiotomeに対して、お子さんがいる方でも参加しやすいようにと午前中の教室にしたのがワ・ミューズのShogimadameです。女性だけを対象にした教室を開いた理由をお伺いすると、
「将棋をする女性が占める割合が1割にも満たない状況なんです。囲碁は男性・女性が50パーセントずつなのに比べ、なぜそんなに女性が少ないのかと考えたときに、将棋は難しいとか、男社会であるとか、敷居が高いというイメージがあるからではないかと。そこを私が変えられるかなと思ったんです」と高橋さん。盤上には、相手と自分で20駒ずつ、合わせて40駒がのぼり、駒の名前や動き方を覚えるだけでも大変と思いがちですが、
「今日も駒の名前も動かし方も知らないでいらした方が、将棋を指し始めていましたし、ぜんぜん難しいことはないんです」。教室で、普通よりも小さな盤に数個の駒をのせて高橋さんと対局している方がそうでした。初めての人でも将棋というゲームを楽しめるように、いきなりすべての駒を使うのではなく、ミニ盤で数個の駒から始めて学びながら、徐々に本将棋に移っていくそうですが、「将棋が楽しいのは、王様(玉)を捕まえたっていうところにある」ので、どうしたら王様を攻略できるのか、その道筋を描けるようにアドバイスをしていきます。どうりで、集中の仕方が普通に対局しているとしか思えず、まったく初めての方だったと気づかなかったはずです。
「まったく知らないことを知る、ゼロを1にするところに特化した先生になりたい」と言う高橋さん。「初めてでどうしようっていう顔が、ふっと分ったという顔に変わる瞬間が見えるときがあって、それは自分のことのように嬉いですね」






■ひとりひとりの性格に合わせてすすめるレッスン
ワ・ミューズの教室では、机を四角に囲んだ中央に高橋さんが回転椅子に座って、同時に何人もの生徒さんと対局していきます。こちらの生徒さん、次にはあちらの生徒さんと、次々にクルックルッと椅子を回転させ、盤を見るやいなや瞬時に一手を指し、アドバイスしていく早業にこちらの目が真ん丸になるほどですが、「8人指しとかは普通にやりますが、プロの棋士であれば誰でもできること」とサラリ。しかし、何よりも高橋さんのレッスンで特徴的なのは、生徒の方々の性格に合わせて、言葉の選び方や伝え方、指導の仕方も変えていくということです。 「少し背伸びをした問題を出したほうがいい人もいますし、小さな階段を作って一歩一歩進んでいくほうがいい方もいるので、ひとりひとりの性格を見ながら、教え方も変わってくるんですね」。そんな指導の成果ともいえるでしょう。昨年11月の日本女子プロ将棋協会主催の団体戦で、駒の動かし方も知らずに始めて1年にも満たなかったShogiotomeのメンバーが優勝するという快挙を果たしました。本人たちの熱心さの賜物と高橋さんは言いますが、大会の1か月前からメールで毎日課題を出して「鬼特訓(笑)」をしながら、生徒の方々の力を引き出した高橋さんの努力も大きく影響しているに違いありません。 「対局で教え子が勝ったときは本当に嬉しいです。私が対局を引退して8年になりますが、みなさんの分った!というときの目のきらきらを見たり、教えるのが好きなんですね。今がいちばん楽しいです」と言う高橋さんの目もきらきらと輝いていました。







■醍醐味は、日常では味わえない「真剣勝負」の世界
「女性ってひとつのことだけを楽しむんじゃないんですね」と高橋さん。「棋士が良く通っているお蕎麦屋さんに行ってみようとか。大盤解説会(大きな対局があったときの解説会)に、一人で行くには心細いからとマダムとオトメの方が誘いあって、分らないなりにも何か楽しい!とかって(笑)」。そんな楽しみ方は、小さい頃からプロの世界しか知らなかった高橋さんには新鮮で、「知らなかった人たちが将棋を介して輪になって、新しい楽しみをみつけていくことは嬉しい」と語ります。しかし、何といっても将棋の面白さは、「日常では味わえない真剣勝負に尽きます」。 「普段の生活の中で、勝負するということが女性は少ないと思うんです。たとえば子どもが何かで負けて悔しいというのは、自分のことではないんです。自分自身で選んだ手を指していって勝ったときの喜び、負けたときの悔しさや次は勝つぞという気持ち、その勝負の世界を味わってもらいたいですね」。先日、大会に参加した生徒さんが、「負けてあまりの悔しさに電柱をがんがん蹴っちゃった(笑)」と報告してくれたそうですが、そうした「普通の生活では経験できない心の振幅」を将棋を介して体験してほしいと語ります。 「将棋はどんなにいい手を指していても、王様を捕られたら100対0で負けたのと同じこと」。だからこそ勝ったときの快感や負けた悔しさもひとしおで、そこに真剣勝負の醍醐味があるのでしょう。教室では生徒同士の対局もしますが、高橋さんは大会に出ることを積極的に勧めています。 「教室での対局は、結局は練習で、それだけではあまり強くなれない。大会に出たら手が震えて何をしているか分らなかったという生徒さんもいて、それくらい緊張するのですが、そうした本番があってこそ上の段階にいけるんです」







■将棋が初めての人が参加できる大会を企画中
「将棋の対戦相手は自分自身」と高橋さん。「負けたのは、相手が強かったからなのではなく自分が弱いから。ですから相手が問題なのではなく、自分自身が強くなればいいことなんですね。人がこう言ったから、環境が悪いからとか周りのせいにしたくなることもありますが、自分で考えて選択した手で負けたのだから、責任は自分自身にある。そこに気づくと強くなれるのです」。そして、負けたときは「負けました」と挨拶して終えるのがマナーだそうですが、自分の負けを言葉にして認める。将棋というのはとても潔く、高橋さんの言うように澄んだ水のような「透明な世界」であることに気づかされます。  今、高橋さんが力を入れたいことは、もっと気軽に将棋を楽しむ間口を広げていくこと。 「私の棋士としての役割は、まず敷居を低くすることだと思っています。将棋界って来るものは拒まずですが、いらっしゃいとは言わない。将棋を知らない方が、どうしたら興味をもってくれるのか、そういうところに力を入れて、いろいろな企画や運営をオーガナイズしていきたいと思っているんです」。実際、初めての人でも参加できるような大会の準備を進行中とお聞きしました。





「経験のない人が、どきどきしながらも出られる大会を企画しています。そこには、将棋を始めてから間もないマダムやオトメの方、教え子の子どもたちも気軽に参加できるようするつもりです。世代を超えた縦のつながりをもつと、また違う広がりも出てくるのではないかと期待もしていて、夏には実現させようと頑張っているところです」。
対局を引退して後悔したことはありますか?という質問に、「まったくありません。こんなに楽しいのに、なぜ?って(笑)」と即答。涼やかな明るい笑顔を絶やさない高橋さんのお話に、将棋の魅力がぐっと身近にせまってきたのでした。



■プロフィール
1976年神奈川県生まれ。日本将棋連盟女流三段。小学校1年生から将棋を始め、佐伯晶優秀八段門下で研鑽を積み、14歳で当時最年少の女流プロ棋士に。A級在位通算7期。2005年子どもたちへの将棋普及活動に力を入れたいと対局を引退。現在、子ども教室、女性の将棋教室Shogiotome、Shogimadame主催。小学校2年生の男の子の母。著書に『女流棋士』(講談社)、『女流棋士のONとOFF』(中公新書)、『和の将棋かるた』(奥のかるた店)など多数。


HP   :http://www.shogiotome.com/
ブログ:http://ameblo.jp/takahashi-yamato/

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AERA 
「女子が殺到! かくも面白き 将棋の世界」 2013.11.18 no.49
将棋女子の立役者 高橋様主宰のレッスン風景が取り上げられています。
「Shogiotome」「Shogimadam」 2クラスのネーミングも女性ならでは。
アマ大会団体戦でも、優勝を飾っていらっしゃいます。




将棋の森 2016年6月1日吉祥寺にオープン!
長年に渡りWAMUSEでご活躍の女流プロ棋士高橋 和様が、
この度新しい形の将棋スペースを開設されました。
女性や子どもたち、はじめての方でも気軽に集える将棋教室です。
様々なイベント開催中。将棋好きの方ぜひ一度ご見学を。


newsletter vol.3 フエルト作家 きりのみりいさん

 
特別インタビュー

きりのみりいさん 
リアル羊毛フェルト作家・イラストレーター
きりのみりいリアル羊毛フェルト教室主宰


まるで本物のように生き生きと表現された犬やネコたちの表情や姿――
「リアル羊毛フェルト」の世界の背景には、命の尊さがあると語るきりのさん。
独自に築いた羊毛フェルトの技術開発のいきさつや、
制作に対する思いを吉祥寺教室を開講しているワ・ミューズでお聞きしました。


■動物を愛する人たちの心に寄りそうリアル羊毛フェルト





イラストレーターとして、広告や出版、舞台美術など、さまざまな分野で活躍していたきりのさんが、リアル羊毛フェルトの制作を始めたのは2000年初頭、自らが主宰する絵画教室で、立体の造形に使ったのが始まりでした。
「そうしたら、生徒の親御さんたちからチワワを作ってとかネコ作ってとか、ネットのオークションに出品をすすめられて出したら、もの凄い反響があったんです」。その後、ネットで作品の発表と販売を開始。そのスーパーリアルといもいえる作風は、イラストレーターのきりのさんにとって「そのままそっくり写すというのは、デッサンと同じ感覚なので」と、自然に生まれてきたようです。次第に、愛情を注いだペットを亡くした人や、ペットにさまざまな思いを寄せる人たちの心をとらえ、オーダーメイドの注文が押し寄せるように。「イラストレーターで終わると思っていた」人生は大きく転換していきました。
「オーダーされた方々が泣いて喜んでくださったり、もう本当にたくさんの感謝のお頼りをいただいたんです。家族同様のペットを亡くされたとか、オーダーされる方の気持ちに応えることは簡単なことではないですが、作品を通して私でも世の中に貢献することができるんだと思えたのです。普通のぬいぐるみを作っていたらそんな体験はしなかったでしょうね。
ほんとうに感動です」と語るきりのさん。その時、思わず目からほろほろと落ちた涙。作品には触れた人々との多くのドラマが秘められていることを物語っていました。



■基本は「専用針と羊毛だけ」のシンプルな世界から生まれる奥深さ

羊毛フェルトは、毛糸に紡ぐ前の繊維状の羊毛を専用針・ニードルで刺してフェルト化して固めて、胴や顔、脚などの形を作っていく手法です。顔と耳など、それぞれのパーツは境目を専用針で刺していくと羊毛の繊維と繊維がからまって固定していくので、糸も縫い針も必要なく、きりのさんが言うように道具は「専用針と羊毛だけ」。基本はとてもシンプルですが、みりい流リアル羊毛フェルトは、まだファンシー的で単純な作風が主流だった当時、独自の研究・開発をすすめて技術を確立したスタイルです。
「リアルな動物を表現するには、それに合う技術や道具の使い分けが必要なんです。私の前には誰もいなかったので、自分で開発するしかなかった」と言うきりのさんは、羊毛の繊維の太さや、ボディのパーツによって使い分ける各種の針、自ら命名したライトタッチとかディープタッチ、ロング植毛など、さまざまな技法やカリキュラムを開発してきました。



ネットを通してファンになった方々からの要望に応えて教室を開設した2009年以来、その技法をおしみなく教えるきりのさん。毛並の立ちた方、脚の付け根のくびれ方、位置や大きさによって表情が微妙に変わってくる目や鼻の付け方など細部にいたるまで、生徒さん一人一人対する指導がとても丁寧です。生徒さんの作品を自ら手にとり技術を見せ、時に意見を交換していくきりのさんの姿からは、和気あいあいとした中にも、制作に対する熱い思いが感じられます。
「オーダーされる方とか、制作する生徒さんたちのペットとか動物への思いとか、背景には貴い命の存在があるんです。だからこそ手を抜けないし妥協しない。ついつい力が入ってしまうんです(笑)」



■ひと針ひと針、時間をかけてつくる愛情たっぷりの作品

  
生徒数約150名、会員数200名以上となり、教室は現在都内と関東圏に7か所に増え、奈良や北海道からと、日本全国各地や海外からも参加者があるほど。初級から上級(1級-4級)のコースと指導者を養成するインストラクターコースがあり、初級では簡単な作品の制作をとおして動物の骨格を学んだり、基礎からしっかりと教える細やかさもみりい流です。
インストラクターも着実に育ちつつあり、アシスタントも務める数名の方が埼玉・川越支部と横浜支部などの運営を支えるようになりました。 教えるきりのさんが妥協しないのなら、「なんでそこまで必死になるのだろうとこちらが思うほど、生徒さんも妥協しないんです」と、嬉しそうに笑うきりのさん。刺せば刺すほど固くなり、羊毛を足したり引いたりして形を整えていくのも自由自在できる羊毛フェルト。その特徴を生かし、顔の表情や脚や胴体の形はもとより、目の大きさや色などにもとんこだわって制作に熱中する生徒さんたち。そこには「作ることが好きでたまらない」、そんな活き活きとした空気が伝わってきました。
「私どもの教室の技術は、世界的にみてもレベルがとても高いと思います。でも、ひと針、ひと針、とても時間がかかるんです。一体に一年もかける人もいるんですが、それだけ作品を大事にしているんですね」。自分の思いを託し、ひとつひとつ丁寧につくりながら自分の大切なものになっていく作品は、「オンリーワン、スペシャルなのです」。そして、制作に「いちばん大切なのは、好きで楽しいということ。愛情たっぷりのものを作るのですからね」と、おおらかに微笑みました。



■人と人とのコミュニケーションを大切にして



  
スーパーリアルな世界を表現するには、犬やネコの形や表情を正確にとらえることが必要で、教室では特徴が解説された犬種や猫の図鑑やネットで調べて参考にしたりしていますが、それだけでなく「半分は会員さんから聞くんです」と、きりのさん。 「会員さんには、ブリーダーさんとかトリマーさんとか、動物のレスキューの方など、動物のプロがいっぱいいらっしゃって、そういう方たちから教えていただいたり、話しているとヒントをいただくことが多いんです」と語るきりのさんが強調したのは、人と人とのコミュニケーションの大切さです。
それは20年近く教鞭をとったデザイン専門学校で、何千人もの生徒を見てきた経験からも思うこと。

「人とコミュニケーションをとれる人は、情も豊かで、表現が生き生きしたものを作るんですね。人と情報交換できる能力が技にも結びついていくんです。 コミュニケーションをもって自分の世界を広げ成長していくこと、それは追求心ともいえますが、そこを教室の軸にしていきたいと思っています」。教室にあふれていた和やかさ、と同時に、ひとつのものに集中していくときの熱気を帯びたような空気は、こんなきりのさんの思いから醸し出されているのでしょう。

今年1月、一般社団法人miriis japanを設立。2年かかった組織づくりも整って、これからの抱負は「日本発祥のリアル羊毛フェルトを、ただ生活に密着したハンドメイドという枠を超えて、アートとして世界に発信していきたい」ときりのさん。5月25日(土)~26日(日)に開催されされる「ヨコハマハンドメイド・マルシェ2013」では、 等身大の新作を出品されるとお聞きしました。きりのさんとスタッフ6名の方がブースに立ち、作品の紹介やワークショップ、キットの販売も予定しているそうです。必見です。



■プロフィール


  
デザイン専門学校を卒業後、イラストレータとして広告・グラフィックデザイン・メディア業界・舞台美術などさまざまな分野で活躍。2007年までデザイン専門学校講師を長年勤め、絵画・造形教室を経営。2003年頃より羊毛フェルト作品を発表し、ネット販売・オーダーメイドを開始。2008年上京し、翌年に教室開講。現在、きりのみりいリアル羊毛フェルトの教室を都内・関東圏7か所で展開。
2013年1月一般社団法人miriis japan羊毛フェルト協会設立。

きりのみりいリアル羊毛フェルト教室: 吉祥寺教室/渋谷教室/自由ヶ丘教室/麻布教室/東急セミナーBEたまプラーザ校/埼玉・川越支部/横浜支部


HP: http://kiji-paint.com
MAIL:miriis_japan@hotmail.co.jp


文中作品画像提供一般社団法人miriis japan羊毛フェルト協会 ■無断転載を禁じます
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newsletter vol.2 刺繍家 土田 真由美さん

 
特別インタビュー

土田真由美さん
刺繍作家 
MAYUMI TSUCHIDA Embroidery & Needlework主宰


ブログ刺繍ランキング上位の人気を誇る土田真由美さん。
昨年末に7年間滞在したニューヨークから帰国して日本で初めて刺繍教室を開設。
ワ・ ミューズでの吉祥寺教室オープンにあたり、土田さんの刺繍への思いをお聞きしました。

■基本のステッチを徹底的に学ぶ



幼少期に高級婦人服の仕立てをしていた母親から、小・中学校では教師からソーイングや刺繍、刺し子や編み物を習い、意外にも刺繍は専門家について習ったことはないと言う土 田さん。以来、趣味のひとつだった刺繍が本格化したのは、ご主人のロンドン転勤が契機でした。「ロンドンは刺繍の本場で、素敵なデザインの刺繍キットがたくさん売られているんです。母や学校の先生に基本的な刺し方は習っていたので、見ればわかるという感じで、自分で刺し だしたんですね」そうした経験の積み重ねは、刺繍は基本の刺し方を徹底して学ぶことが第一という、土田さん独自の考えかたを生みました。「ステッチの種類は本当にたくさんありますが、教室ではよく使われて重要度が高いステッチを徹底的に教えます。そうすると、本などを見て知らないステッチが出てきても、基本的なステ ッチが土台になっていることが分ったりして対応できていくんですね」ロンドン滞在時、カリグラフィー、水彩画、チャイナペインティングにも興味は向かい、「習い事中心の生活」だったと笑いますが、構図やデザイン、色彩の感覚が養われたとも。「刺繍も デザインと両立することが大事で、習い事の経験は、今に生かされていると思います」



■作品として価値あるものを作る



いろいろな趣味があった中で刺繍にひかれた理由を伺うと、「刺繍のデザインは、一所懸命考えなくても、どんどん湧いてくるんです」と声がはずみます。そんな土田さんのこだわりは、「教室では、刺繍だけのデザインで完成するものを指導しています。長い目で見てそのほうが刺繍作品としての価値があると思うからなんです」。さらに、「完成度を左右するのは、刺繍以外のところにあるんですね。刺繍がいくらきれいでも仕立てがひどいと作品としては成り立たない。それくらい仕立ては大事です」。洋裁の仕事をしてい た「母の影響はとても大きい」という土田さんならではのこだわりです。 土田さんが初めて教室を開いたのは、ご主人の二度目の海外駐在先となったニューヨーク。教室では、糸の玉結びもできない人もいたそうですが、1年もするとかなり手が慣れてくると か。「それぞれに異なる生徒のみなさんの個性を上手くひきだせたらいいなと思います。そして、刺繍に縁のなかった人でも、刺繍をやってみたいと思ってもらえる初心者向けのデザインを数 多く提供していけたらいいですね」暮らしの中で生きるデザインで、刺繍の魅力を伝える土田さんへの期待がますます膨らみます。


■プロフィール



1970年富山県生まれ。幼少期から中学校まで洋裁をしていた母、学校の先生からソーイングや刺繍の基礎を習う。京都薬科大学薬学部卒業。薬剤師。製薬会社に7年勤務し た後,夫の駐在先のロンドンで本格的に刺繍に取り組む。2005年、再び夫の海外駐在に伴ったニューヨークで3年前より刺繍教室を始める。現在、東京の世田谷教室、吉祥寺教 室、ニューヨーク教室主宰。


ブログ: MAYUMI TSUCHIDA Embroidery & Needlework 「Nui nui 生活 in TOKYO」 


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ビジネスチャンス交流会報告

2月29日(水)、武蔵野市・三鷹市のビジネスをサポートするNPO法人むさしの経営支援パートナーズ主催「ビジネスチャンス交流会」が開催されました。


コワーキングスペースとは

さまざまなソーシャルメディアの影響を大きく受けて、オフィスにいなくても、自宅やカフェなど好きな場所で仕事をすることができるようになりました。しかし、自宅では集中する のが難しい、カフェはお昼時に長居がしずらいなどの環境から、「コ(=共有)ワーキングスペース」に注目が集まっています。個々に独立して働きながら、相互の情報やアイデアなどを交 換しあえる共有のワーキングスペース。2011年には国内でも広がりを見せ始めました。利用しやすさとコミュニケーションから生まれるビジネスの可能性を追求する場として、従来のシェア オフィスとは差別化をしています。
とかく利用者はフリーランスやIT関連というイメージが先行しがちですが、自分にあった働き方のプラットフォームとして地域に根差したコワーキングも増えています。

newsletter vol.1  医師 澤田 めぐみさん

 
新春特別インタビュー

医師 澤田めぐみさん
とうきょうキッズメディカルスクール代表


小学3年~6年生の児童を対象として、「からだのしくみ」や「病気のなぞ」について学ぶ医学教室・
とうきょうキッズメディカルスクール。
2012年度の講座が4月からワ・ミューズでスタートします。

■本物の医療器具を使った体験型講座



「いのちの不思議や、いのちは何よりも大切な宝ものだということを知ってほしい」、そのことを子どもたちが講座をとおして、自然に感じとってくれたら嬉しいと思うと澤田さん。
2011年12月、武蔵野商業会議所で2012年度の講座に向けた体験教室が開かれ、子どもたちが心臓のしくみを学びました。心拍数を計測したり、血液がどの方向に流れているか実験して確認したり、クイズを交えながら、心臓のしくみを澤田さんが分りやすく解説していきます。胸にエコーをあて、心臓の収縮や弁の開閉する動きがリアルに映し出されると、みんなの目はスクリーンに釘付け。初めての参加で緊張気味だった子どもたちが、講座が終わるころには活き活きと輝いて見えたのが印象的でした。
定期講座は、毎月1回90分、医師、歯科医師、薬剤師などが講師となり、受講生も白衣を身に着けて、聴診器、顕微鏡、内視鏡など本物の医療機器を扱う体験型学習です。授業のカリキュラムやテキストは、先生がたの手作り。子どもたちが楽しく医学を学べるような工夫が凝らされています。

■正しい医学の知識を身につける大切さ



澤田さんが、児童向けの医学教室を開いたのは、2児の子育てを通じ、科学的根拠のない医療情報が子どもたちを取り囲んでいると危惧を抱いたからでした。「医師として、自分が勉強してきたことを子どもたちに伝えていかないといけない」と、2009年に小学生の長男と友だちを自宅に集めて医学教室を開始。2010年「みたかソーシャル&コミュニティビジネスプランコンペティション」最優秀賞を受賞し、2011年4月にそれまで不定期だった教室を定期講座として開講しました。
澤田さんは、病気になってからではなく、からだの正しい基礎知識を身につけておくことの大切さも強調します。
「正しい基礎知識がないと、診察を受ける時に主治医の先生に的確な質問ができず、それが不安や不満につながることがあります。良い医療を受けようと思ったら知っておかなければいけないことがあるんですね」。講座で本物の医療機器を使うのは、この検査にはどんな意味があるのか、先生が何をしているのか、そういうことが分るようにという意味もあると話します。そして講座をとおして、
「偏見のない医療の正しい情報を見極める目の基礎をもってもらえたらいいなと思います」と、医師として、そして母としての目がさわやかに微笑みました。

■プロフィール



医師・医学博士。東京医科歯科大学卒、専門は呼吸器内科。大学病院勤務を経て、出産を機に都内の検診センターの内科医に移行。2009年、多摩地域在住の医師、歯科医、薬剤師らとともに児童向けの医学教室を開設。「みたかソーシャル&コミュニティビジネスプラン2010」最優秀賞を受賞。2011年4月、医学教室を「とうきょうキッズメディカルスクール」(一般社団法人メッドラーニング)と改称し、定期講座をスタート。2011年、多摩信用金庫主催の多摩ブルー・グリーン賞、経営部門特別賞(東京都産業労働局長賞)受賞。同スクールの代表理事。

とうきょうキッズメディカルスクール:ホームページ http://www.kidsmed.jp/

文中写真提供 とうきょうキッズメディカルスクール
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2012年・春スタート講座のご紹介

■MAYUMI TSUCHIDA Embroidery & Needlework
吉祥寺教室1月21日スタート



幼少期に洋裁の仕事をしていた母から、小・中学生時代に先生から刺繍・洋裁・手芸の基礎を学びました。大学卒業後、製薬会社勤務、薬剤師を経て、夫の海外転勤にともない職を離れ、駐在先のニューヨークで大好きな刺繍を教え始めました。昨年末の帰国にともない、天職と思えるくらい好きな刺繍の魅力をみなさんにお伝えしたくて、この1月から吉祥寺教室と世田谷教室(自宅)をスタートします。
また、私が10年にわたって収集した刺繍本、フランスの刺繍雑誌、刺繍新聞、チャート、その他手芸本について、世田谷教室では自由に閲覧し、製作の参考ににしていただけます。吉祥寺教室では、年に数回閲覧日を設定する予定です。
生活の中でさりげなく使ったり飾ったり、また贈り物にしてみたりetc…。基礎からしっかり学んで、素敵なオリジナル作品を作ってみませんか?

主宰:土田真由美ブログはこちらから
吉祥寺教室―2012年度前期レッスンカリキュラムはこちらから
※2011年12月現在 前期募集は終了しました(満席御礼)

■「武蔵野 和ハーブ講座」4月スタート!
日本人の美と健康、そして感性の源を和ハーブで探る



ハーブ(Herb)というと西洋のものと捉えがちですが、実は私たちの身の回りにあふれています。日本各地の独自の気候や風土の中で育った有用植物を、そこに暮らす人々が活用し伝承してきました。例えば私たちに身近なチャノキ(緑茶)や山椒、シソやミツバなども立派な和ハーブです。

「武蔵野和ハーブ講座」では、武蔵野の自然を歩きながら、江戸時代まではこの地域で盛んに栽培され伝統色・江戸紫の染料となった紫草(ムラサキ)をはじめ、和ハーブを五感で学べるフィールドワークや、和精油を使用した和アロマトリートメント、和ハーブ素材を使った手作りコスメなど、古くて新しい和ハーブ文化の魅力を多方面から味わえる連続講座を今春からスタートします。
和ハーブは、古来から日本人の美しさと健やかさを担い、万葉の文学や色彩にもみられるみずみずしい感性を育む、先人からの素晴らしい宝物に他なりません。「武蔵野和ハーブ講座」は、その豊かなエッセンスを暮らしに採り入れる提案をしていきます。

第1回武蔵野和ハーブ講座 4月15日(日)PM (和ハーブティー紹介、二十四節気と和ハーブの関わり等)
※日時・内容は変更になることがございます。最新情報は下記HPにてご案内致します。
主催:和ハーブ協会 平川美鶴 HP


「吉祥寺ビジネスプラン塾」 2月スタート!

本講座は、少人数制で、マーケティングの基礎を「体系的」に学びながら、講座中に吉祥寺の実務家と対話を通じて街のニーズを知り、自分のビジネスプランに活かすことができます。さらに、NPO主催ビジネスチャンス交流会で発表のチャンスが得られます(審査あり)。
主催:有限会社プランビセ(WAMUSE運営会社)
くわしくは こちら から

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